〜削られる箏〜
ある日のこと。
柱を楽調子に立てて確認の調弦をしていたとき、一の弦が低かったので柱の下を持ってクッと引き寄せたら、それに伴って磯の木もシュリッと向けました。
「!!」私はとんでもないことをしでかしたと思い、慌てて覗き込んで見ると、既に柱移動の跡がくっきり…それはまるで轍のようでしたがな。びっくり仰天でした。
触ってみると結構削れていまして、それもだいたいの古箏でとれるC、Dあたり…龍尾に近いあたりが特に凄まじく凹んでたので、皆同じことしとるんや〜と安心、してはいけないのですが、気づいてよかったと思いました。
一以外の柱はそのまま動かしていたので、その癖でついつい一の弦も同じように動かしていたのです。

以前、柱だけ動かしたら弦から外れてパシコーン!と飛んでいったこともあって、弦を上げて移動させやなアカンと心得ていたときもあったのですが、飛ばさなくなると、その心得もコロリと忘れて、磯削り方式に逆戻りしてしまったようです。
お箏はぶつけないことにばかり注意が払われていたため、設置完了できたら後はもう大丈夫、と気が抜けていたところもあったのだろうか…
一回生の初心者の子の手つきは、本当に慎重に柱を立てたり移動させたりしているので眺めているとじれったくなってくるけれども、実は、こういう姿勢が重要なのではないかと最近つくづく思うようになりました。
慣れてくると、箏に対して横着になってくるというか、端的に言うと扱いが雑になってくる…のは私の場合なのですが、準備するのに新鮮味・面白味が薄れて行き、ないがしろにしていたんじゃあないかと反省しました。
「早く弾きたい!」という衝動に駆られている部分もあるのでしょうが(笑)

ともかく、お箏は楽器ということを意識して大切に扱いたいと思います。もちろん、楽器に限らずモノは壊さないように使っていきませんと。
それから、謙虚な心「初心忘れるべからず」で練習にも励んでいきたい所存です。

 くっきりと跡がついてしまってます。痛々しい…
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